Up 食事・運動の「社会と個」 作成: 2008-10-06
更新: 2011-08-11


    <食べる・運動する>の「ためになる」には,つぎの両面がある:
      (1) 社会性の実現
      (2) 個の多様性の実現


    (1) 社会性の実現

    <食べる・運動する>の内容は,文化の要素である。 われわれの<食べる・運動する>は,歴史の産物である。 一定の型に嵌った<食べる・運動する>が,個人にとって所与になっている。
    翻って,みんなと同じ<食べる・運動する>をすることが,人になることである。 長い歴史の中で,人になるための食物・運動が形成された。

    <食べる・運動する>の所与性は,<食べる・運動する>の「ためになる」を考えるときの要点である。 「所与」とは「理由をもたいない」ということであるからだ。

    一般に,歴史の産物としての所与には,「このような理由によって,いまここにこれがある」という説明はない。 いまとなってはだれも由来を知らない<掟>みたいなものである。
    理由は,後付けされる。そして「合理化」がこれの形である。

    「合理化」をする者は,その合理性に驚嘆することになる。 ──「どうしてこんなにうまくいっているのか!
    「どうして?」は,わからない。「人類スパンでの経験値蓄積」というものを想像するのみである。 ──「経験的に,これがよいというふうになった
    「経験的に」のメカニズムは,「生き物の進化」のメカニズムのように,不可知である。


    (2) 個の多様性の実現

    <食べる>は,<運動する>のもと。 運動することは,<外>をつくること。 そして,<外>をつくるとは,反照的に<自分>をつくること。
    人は,いろいろな運動をして,<外・自分>をつくっていく。

    <食べる・運動する>は,個人にとって所与でありつつ,個人個人で多様になる。
    この「個における運動の多様性」が,個における<外・自分>の多様性 (「個の多様性」) をつくる。