Up マクロ数学教育学の方法 : 要旨 作成: 2014-09-07
更新: 2014-09-22


    学校数学のマクロ論は,学校数学を「系のその都度の均衡相」と捉える。
    その都度の均衡相は,パターンを現してくる。
    マクロ学は,これらパターンの抽出と,パターン現出のダイナミクスの捉えを,主題にするものである。

    パターンは,共時的と通時的に分けて考えられる。
    共時的パターンでは,特に「学校数学の多様性」(「何でもあり」) が観取される。
    通時的パターンでは,特に「学校数学の反復性」 (「同じことの繰り返し」) が観取される。
    そしてこの二つから,学校数学の「是非/進歩と無縁」が導かれてくる。

    学校数学目的論・実践論は,「学校数学をよくする」が構え (常識) になる。
    「是非/進歩と無縁」と「よくする」は,矛盾しない。
    要点は,「<系>は<個>の延長ではない」である。
    個の「よくする」は,学校数学の<系>である「学校数学=生態系」に延長しない。 ──「学校数学=生態系」は「是非/進歩と無縁」である。

    マクロ数学教育学の方法は,基本,経験学である。
    経験学を方法としなければならないのは,現象パターンの観取はパターンのライフサイクルおよびそれの繰り返しの観取であり,これには,パターンのライフサイクルおよびそれの繰り返しと同じだけの時間を要するからである。

    但し,マクロ数学教育学は,有益なヒント,メタファを複雑系科学に求めることができる。
    複雑系科学は,その手法・成果の両方で,人の各種生態系の探究に,いろいろな視点・発想法を提供してくれる。
    それは落とし穴にもなるが,ヒントになる。
    このときの肝心は,複雑系科学で主題になっている「複雑系」と人の複雑系との距離を,つねに意識していることである。