Up 「複雑系」(複雑系科学) 作成: 2014-09-10
更新: 2014-09-22


    「系─個」を構造とする存在は,「空(くう)」であり,「オートポイエーシス」であり,そして複雑系科学の謂う「複雑系」である。
    「空」は,「系─個」の存在論に他ならないが,「無分別智」に即くことをスタイルにする。
    「オートポイエーシス」は,「系─個」存在への理念的アプローチということになり,構造的な捉えを示す。
    そして,複雑系科学は,「系─個」存在への実証的アプローチということになる。

    複雑系科学は、<個>における何が<系>全体の挙動を現すことになるのかを、明らかにしようとする。
    「空」でいうと「縁起」,スピノザでいうと「コナトゥス」,「オートポイエーシス」でいうと「self-referential」となるものを,科学に乗せようとする。
    方法は,「数理モデル」と「シミュレーション」である。

    ただし,複雑系科学は,容易に想像されるように,人のリアルな系 (「生態系」) に近づくには,ひどく遅々たる歩みである。
    実際,一見単純に思える事象も,数理モデル化はひじょうなチャレンジになる。
    テーマをチャレンジできそうなテーマを限定することは,人のリアルな系を遙か遠くに置くことである。

    しかしこのことは,「マクロ数学教育学にとって複雑系科学は使えるものではない」を意味しない。
    マクロ数学教育学は,複雑系科学が示してくるものを,有益なヒント,メタファとして用いることができる。