Up 「系─個」存在論に類縁の存在論 : 要旨 作成: 2014-09-20
更新: 2014-10-27


    「系─個」存在論は,つぎの3点を「存在」の要点にする:
    1. 存在は, 「系−個」構造 (「系−個」連鎖)
    2. 系は個の延長ではない
    3. 存在は,非実体
    この「系─個」存在論には,3点の比重・内容に違いをおきつつ,類縁の存在論がある。

    最も古いものでは,仏教の存在論である「空(くう)」が挙がられる。
    「一切皆空」の「空」は,存在の「系─個」構造における系の「空」性を捉えたものと解釈される。
    そして,系を現すところの個の相互作用が,「縁起」である。

    スピノザの「コナトゥス」も,「系─個」存在論として読める。
    即ち,「相互作用する個」の「作用 (努力)」が,「コナトゥス」である。

    「オートポイエーシス」は,つぎの存在論である。
    <系>の現前は,<個>の「自分の位相を<自分以外>に対して調整する」がその都度定める。
    個それぞれがこの調整を行うことの結果は,「「自分の位相を<自分以外>に対して調整する」が再び必要になる」である。
    <系>のスケールでこの模様を観れば,「<系>は,その都度自分自身に反応し (self_referrential),自分を変える」に見える。
    これは,自分を飲み込み続けるウロボロスの絵図である。

    複雑系科学は,「個の相互作用の現象」を,実際に科学するものである。

    「無用の用」も,「有るものは,見えないものがつくっている」の意味では,「系─個」存在論の一タイプと見なせる。