Up 「マクロ数学教育学」の措定 : 要旨 作成: 2014-09-07
更新: 2014-09-17


    現前の数学教育学は,「学校数学をよくする」を構えにする。
    一方,学校数学は人の営みの系であり,端的に「生態系」であり,そして「生態系」の含蓄として,是非/進歩と無縁である。
    「学校数学は是非/進歩と無縁」は,「学校数学をよくする」とことばの上で矛盾する。
    この二つをどう関係づけるかは,数学教育学の内容である。

    実際,「学校数学は是非/進歩と無縁」の理論的捉えは,学校数学のマクロ学の内容ということになる。
    このときの「マクロ」は,「ミクロ・マクロ問題」の「マクロ」である。
    即ち,《系は個の延長ではない》の存在論で観た系ないしこれの現象が,「マクロ」である。

    ここに,マクロ数学教育学の措定となる。
    マクロ学は,言い方を変えると,「学校数学をよくする」学の「する」論に対し,「なる」論を行うものである。
    「する」の主語が<個>, 「なる」の主語が<系>,というわけである。

    「マクロ数学教育学」の表現は,「マクロ経済学」のもじりでもある。
    即ち,「マクロ経済学」との類比も想定している。
    ただし,「マクロ数学教育学」の「マクロ」は,あくまでも「ミクロ・マクロ問題」の謂う「マクロ」である。「マクロ経済学」の「マクロ」との異同は,マクロ数学教育学の直接配慮するところではない。