Up 『研究』の論構成:要旨 作成: 2013-08-20
更新: 2013-08-20


    『研究』は,当時の学校教育に対し
      深刻な問題がありながら,形式陶冶を名分にしてこれを是認している
    の見方をするところから,学校教育批判を「形式陶冶」批判として行うものである。

    これは,「行いが悪いのは,どう行ったらよいかをわかっていないから」ではなく,「行いが悪いのは,思想が悪いから」の立場に立つということである。

    学校教育批判としての「形式陶冶」批判は,『研究』において,つぎの構成になる:
    1. 「教育がなってない」を「形式陶冶」に溯行/還元
    2. 「形式陶冶」の押さえ
    3. 「形式陶冶」を作用主陶冶/能力説に転じる
    4. 作用主陶冶/能力説の押さえ
    5. 作用主陶冶/能力説批判
    そこで,作用主陶冶/能力説批判を首尾よく行えることが,「形式陶冶」を批判できたことになり,さらに「教育になってない学校教育」を批判できたことになる。

    『研究』は,作用主陶冶/能力説批判を,形而上学批判として行う。
    ──これで作用主陶冶/能力説批判が成ったとする。

    『研究』は,最後に,「人間教育」の標題で,「行いが悪いのは思想が悪いから」の「悪い思想」に対するところの「よい思想」を提示する。