Up 存在論と<視座> 作成: 2014-02-02
更新: 2014-06-16


    現成論は,存在論を行う。
    一般に,存在論は「この視座からの存在論」であり,この意味で,<視座>の存在論,「視点の相対性」の存在論である。

    いま,自分の立つ地点から,上昇してみる。
    自分の棲む世界が眼下に展望されてくる。
    併せて,これまで自分にとって特別であったものが,雑多の中に相対化され,そして埋没する。
    はじめデコボコに見ていたものが,平らになっていく。

    また,自分の棲む世界に対し,これと大きく異なる世界を対置してみる。
    そしてこの世界から自分の世界を臨んでみる。
    多様性と見ていたものが,同じものになる。

    雲の中に入っていく。
    輪郭に見えていたものが無くなる。
    ただの霧になる。

    事物の如何は,視点のポジショニングに依存する。
    デコボコと平らは,矛盾しない。
    違うと同じは,矛盾しない。
    「色(しき)」と「空(くう)」は,矛盾しない。
    作為と<自ずと成る>は,矛盾しない。

    パラフレーズしてみる:
      開いていると閉じているは,矛盾しない。
      動いていると止まっているは,矛盾しない。
      生きていると死んでいるは,矛盾しない。
      有ると無いは,矛盾しない。
      自由と定まっているは,矛盾しない。
      するとなるは,矛盾しない。