Up 学校数学は, 進歩でなく進化する 作成: 2013-01-04
更新: 2014-02-20


    学校数学は,一つの生態系である。
    この系には,いろいろな種が棲むことになる。
    そして,これらの種が系の中で生きることは,進化を現すことである。

    学校数学は,進歩しないが進化する。
    進歩と進化の区別は,重要である。
    なぜなら,系で優勢な種の進化が「学校数学の進歩」のように錯覚されやすいからである。

    杉の桶がプラスチックの桶になることは,桶の進歩ではなく,桶の進化である。
    杉の桶づくりの技では,後進は先人を超えられない。
    そしてそもそも,後進は先人の歩んだ道を歩む者ではない。 先人とは別の道を歩む/歩んでしまう者である。


    進化は,系の条件への適応である。
    「退化」も進化のうちである

    進化には,個の変容と世代交替の2タイプがある。


    ところで,進化は図に乗ってしまう。
    図に乗って,系の条件を逸脱してしまう。系を攪乱してしまう。
    これが進めば自身の滅亡になるわけであるが,ここで系は<均衡回帰>の自動制御を働かせる。
    よって,図に乗った結果は,「少し罰が当たる」で済むふうになる。

    教員の進化は,この「図に乗る」をやってしまう。
    即ち,学校数学を自分本位の形に仕立てる。
    そして,「少し罰が当たる」を俟つ者になる。

    「罰」はどんな相でやってくるのか?
    一つは,<遊ばせる>が過ぎたときで,「学力低下」,即ち「数学の力のない者がつくられる」が世論になることである。
    一つは,<授業力の無さ>が過ぎたときで,「授業崩壊」,即ち授業に対する生徒の否定的反応である。