Up 全体主題 :「数学の勉強は何のため?」に答える 作成: 2011-09-01
更新: 2011-09-01


    個人にとって,「数学」とは先ず学校数学のことである。
    そして学校数学は,理由を問題にする以前に,所与である。
    「数学の勉強は何のため?」に答えることは,所与にいまから理由をつけることである。
    理由づけのことばをいろいろ試してみる。
    しかし,どうもしっくりこない。
    自分は数学を勉強してきた。それがわたしのこの能力/傾向性をつくってきた。」を言えればよいのだが,言えないのである。

    《学校数学が行われているのは,数学を勉強する理由があるから》
    道理としてはこうなる。
    しかし,「数学の勉強は何のため?」が問われれば,だれも満足な答えを出せない。答えに窮してしまう。
    学校数学は,数学を勉強する理由によって現前しているのではない。

    数学を勉強するのは何のため?」は,数学教育学の基本中の基本,初歩中の初歩の問いである。 実際,数学教育学の諸課題は,これの答えの上に立てられるべきものである。
    しかし,答えは自明ではない。

    ここに,「数学の勉強は何のため?」に答えることを課題に立て,答えの論の探究に入ることになる。