Up 教員の自問 :「どうして数学を勉強させなくてはならないのか? 作成: 2010-10-04
更新: 2010-10-04


    やがていつの時期か,生徒はつぎの疑問を教師にぶつけてくる:
      みなが数学を学ぶ必要があるのか?
      いま勉強させられている数学は,自分が将来使うとは思えない。

    生徒はこのとき,教師に<指導>を求めているわけである。
    教師は,<指導>として,生徒の問いに誠実に答える責務がある。

    「誠実に答える」とは,正答として自分が信じて疑わないものを答えることである。 したがって,「誠実に答える」にも,教員によっていろいろあり得る。 例えば,以下はどれも「誠実に答える」であり得る:
      数学を将来使わなくていいと思うのなら,数学を勉強しなくてかまわない
      数学を使わないといまから決めるのは損,保険と思って数学を勉強しておく方がよい
      上級学校の入試科目に数学があるから,数学の修得が必要
      数学を学ぶことの意味は奥深く,数学を使う・使わないで考えたら間違う

    しかし,正答として自分が信じて疑わないものをもつということは,実際にはできない。 どの答え方も,一面的であるか,あるいは曖昧極まりない。 ひとは,その都度,答えにブレる。
    こうして教員は,「どうして数学を勉強させなくてはならないのか?」をずっと自問する者になる。