Up 小学算数は,中学数学以上・大人社会と隔絶 作成: 2012-11-25
更新: 2012-11-30


    「教員の救済」が矛盾を現さないで済むのは,せいぜい小学算数までである。 中学数学以上になると,「教員の救済」は不可能になる。
    中学数学以上でも,教員は「<導入・展開・まとめ>はしなくてよい」を任じる者である。 しかし,「ひとからすばらしいと言われる授業を,あなたもできるようになる」のことばには傾かない。 授業の現実を前にするとき,このことばは嘘になるからである。

    中学数学以上における授業の現実とは,何か?
    生徒に課す内容がどんどん多くなるということである。
    <わかる・できる>を生徒に与えられない教員は,生徒をどんどん落ちこぼしていく。

    さらに大人の社会は,企業であれば,社員と経営者がそれぞれリストラされる者・リストラする者になる。 小学算数の「救済」社会とのギャップが,途轍もなく大きいのである。
    そして,このギャップを埋める役回りを,中学数学以上が持たされるというわけである。

    小学算数において立てられる「教員の救済」,そしてこれが導くところの「生徒の救済」は,小学算数だけに通用する。
    このことは,中学数学以上や大人の社会全体が見える視点に立って,見えるようになるものである。
    小学校教員は,小学校の閉じた領域でもっぱら「救済」を思考するため,自分の立てる「救済」を普遍化してしまう。

    <導入・展開・まとめ>が授業から無くなるプロセスは,小学算数においては直截的なものになる。
    すなわち,小学算数は,<教える>を却ける指導法が強力に立てられることで,<導入・展開・まとめ>が無くなる。 <教える>を却けるこの指導法の意味は,「救済」である。
    中学数学以上では,授業は<教える>で立てるものになる。 ここには,<教える>を却ける指導法が強力に立てられるような契機は,存在しない。

    小学算数は,「救済」をもち出せるので,「救済」をもち出す。
    中学数学以上では,「救済」をもち出す余地がないので,「救済」をもち出さない。
    これが,「救済」に関わる小学算数と中学数学以上の違いの全てである。