Up | 基礎学の意味──生態学に対し | 作成: 2015-10-28 更新: 2015-11-22 |
生態学は,危うい学である。 対象が複雑系であることを以て,雑な思考を自らに許してしまう。 「複雑系」の視座が定かでないと,また複雑系の理解がそもそも薄弱であると,思いつきをやってしまう。 一例が,「保全生態学」である。 生態系は,自己言及的 (self_referential) システムである。 系の変化を込めて,系である。 一方,「保全生態学」は,生態系の保全を課題にする。 即ち,生態系の変化の各々に是非・善悪を立て,是・善の「保全」を説く。 この「保全」は,自分ご都合主義である。 「保全生態学」は生態学の否定であり,「保全生態学」が生態学の分野として立っていることは生態学の自己否定である。 しかし,人の「生態系」の考え方は,「保全」である。 「保全生態学」は,人の「生態系」の考え方を代表しているに過ぎない。 生態系を理解する形は,「是非も無し」である。 人は物事を是非・善悪で考える。 「是非も無し」は,科学が物事を考えるスタンスである。 物理学は,対象に是非を立てない──科学である。 生物学は,対象に是非を立てない──科学である。 「数学教育学」は,対象に是非を立てる──科学ではない。 数学教育学は,数学教育生態学として,対象に是非を立てない──科学である。 「是非も無し」は,意識・意志でこうなるのではない。 「是非も無し」は,鍛錬の到達するところである。 そこで,数学教育生態学は,基礎鍛錬のフィールドとして,これの基礎学が考えられてくる。 |