Up 周期運動 作成: 2015-10-25
更新: 2015-10-25


    一つの生物種の大発生は,周期を現す。
    周期的大発生のメカニズムは,およそつぎのようになる:
      大発生すると,これの天敵が集まってくる。
      捕食によって,密度が減ずる。
      天敵にとって,よい捕食場ではなくなる。
      天敵は,次第に離れていく。
      その場に,しばしの平和が訪れる。
      平和の中で,数を盛り返す。
      そして,大発生する。

    一般に,増減する量に対し,量の大きさを抑える力が《量の大きさと押さえる力が比例》の関係で存在するとき,この量の増減は周期的になる。
    上の例では,一つの生物種の密度に対し,天敵の捕食がこれを抑える力になり,かつ密度と捕食が比例することから,周期的大発生の現出となる。

    数学教育では,およそ20年周期で「数学的○○」の大発生がある。
    これまで「数学的考え方」「数学的問題解決」「数学的リテラシー」の表題で出てきたものがこれであり,表題は違うが,中身は同じである。 即ち,「数学的一般陶冶」の考えである。

    「数学的○○」の周期的大発生は,周期運動に他ならない。
    即ち,《量の大きさと抑える力が比例》が現す運動である。
    《量の大きさと抑える力が比例》には,つぎのようなものがある:
    • 数学教育学者の場合
        「数学的○○」の論文が増えることは,「数学的○○」の論文を加える余地が無くなること。
        「数学的○○」に,論文をつくる旨味が無くなること。
    • 教育産業の場合
        「数学的○○」関連の商品の生産が増えることは,数学的○○」関連商品を加える余地が無くなること。
        「数学的○○」に,商品をつくる旨味が無くなること。
    • 学校教員の場合
        「数学的○○」が数学の授業を席巻することは,これに厭きがくること,嫌気がさすこと。
        実際,時間を追うごとに,「数学的○○」のスローガン倒れは益々はっきりしてくる。