Up 生成系──反「分析・再構築」 作成: 2015-11-13
更新: 2015-11-13


    「複雑系」には,「生成系」の含蓄がある。
    即ち,「複雑系」の捉えには,対象に対する「生成系」の捉えが含まれる。
    ここで「生成」は,「分析・再構築」の対立概念である。

    「分析・再構築」と「生成」は,どう違う?
    「建物」の捉えを,例にする。

    「建物」を「柱・壁・屋根,‥‥」のように分け,設計図におこすのは,「分析・再構築」である。
    これに対し,「建物」を「大工仕事」と捉えるのが,「生成」である。

    どこが違う。大工仕事も設計図がもとだぞ!
    設計図と実物は違う,ということである。
    違いを立てる観点は,「可逆・不可逆」である。
    設計図は可逆,実物は不可逆である。
    設計図では,建物とパーツを行ったり来たりできる。
    実物は,パーツに戻れない。
    実際,建物の更新は,「スクラップ・アンド・ビルド」である。

      「法隆寺修復」は,法隆寺が「建物とパーツを行ったり来たりできる」という思想で建てられていることを示している。
      法隆寺は,「分析・再構築」を方法論にした建物である。

    スクラップは,丁寧にパーツに分解することをしなかったというだけのことだ。  
    <丁寧にパーツに分解>を含めて,建物は分析・再構築だ!

    では,クモの巣はどうか。

    クモの巣の捉えは,「大工仕事」である。
    「大工は,こんなふうに生成を仕事した」である。


    「数学教育学」の研究の形は,「リサーチ」である。
    これは,対象の「分析・再構築」である。
    「数学教育学」の研究の形が「リサーチ」であるとは,「分析・再構築」の世界を自身の世界にしているということである。

    これに対し,数学教育学は,複雑系の学として,建物を「クモの巣」と重ねて見るように世界を見る。
    数学教育学は,「生成」の世界を自身の世界にする。