Up 「保全」イデオロギー 作成: 2015-11-29
更新: 2015-11-30


    本テクストの「生態学」は,現成論を行うものである。
    「生態系」は,「是非もなし」の系である。

    一方,「生態系」のことばは,「保全」を文脈に使われることが多い。
    「自然保護」とかであり,これは悪者論を営む。 ──是非論である。

    悪者論は,自分を正義にするためにむりやり悪を立てるイデオロギーである。
    そして,<悪の糾弾>を自分を保たせる形にするイデオロギーは,悪をつくり続けるイデオロギーである:
      同じ正義は飽きられる。
      ワンパターン,単純,マンネリと思われないために,正義は更新されねばならない。
      正義の更新は,その都度新しい悪をつくることである。

    「保全」イデオロギーは,構造的に,低俗な世直しイデオロギー,前衛イデオロギーと簡単に通ずる。
    これは,科学の対極である。

      悪者論を体質にしてしまうと,「樹木の立ち枯れ」を見たら,「酸性雨が原因」のストーリーをつくる。
      あたりまえの「ヒグマの夏期の激痩せ」にも,「自然破壊」をほのめかすストーリーをつくる。
      科学の対極である。

    科学は,現成論である。
    悪者論/是非論をやるのは,イデオロギーである。
    イデオロギーの鑑識眼が無くて行う生態学は,危うい。