Up ニッチ 作成: 2015-11-07
更新: 2015-11-08


    生態学は,複雑系科学である。
    複雑系科学の方法論は,「複雑を複雑に見る」ではない。
    「複雑を単純に見る」である。
    生態系の場合,「ニッチ」が,複雑を単純に見る見方の一つになる。

    辞書には,「ニッチ」の意味に「地位」「隙間」の二つが書かれている。
    これは,「地位」「隙間」の二つの意味が通じるように「ニッチ」を読めということである。
    即ち,「ニッチ」は,狙われるものである。
    空位になることを,狙う。
    いまその地位にいる者を追い出して,自分が替わりに収まることを,狙う。
    自分が収まることのできる地位で,まだだれにも気づかれていないもの (「隙間」) を,狙う。

    生き物の<生きる>は,自分が収まることのできるニッチを求め,獲得し,保守し,それを放擲/放棄/喪失する営みである。
    「ニッチ」は,「生業」のことである。
    生き物の<生きる>は,生業を求める・得る・守る・捨てる/失うである。

    翻って,生態系の生成原理は単純で,《生き物は生業を求める》である。
    生き物は,《生業を求める》の重力がかかっている存在である。
    多様な個の《生業を求める》が,衝突し,複雑に相互作用する。
    これが,生態系である。
    生態系も,原理は「重力」である。

      したがって,生態学は,構えは「宇宙物理学」である。
      特に,数学教育生態学である数学教育学は,宇宙物理学である。