Up 競争力──資源蕩尽 作成: 2015-11-13
更新: 2015-11-13


    「数学教育学」は,「能力陶冶」を課題にする。
    この「能力陶冶」は,「商品経済に生き残る能力の陶冶」である。
    「数学教育学」は,「能力」のことばを「competence」の意味で使うことになる。
    「competence」は,「競争力」である。


    商品経済は,<資源蕩尽>を行動様式にするものになる。
    実際,1円の利益は,9円の物を10円で売っても,99円の物を100円で売っても,同じである。 コスト・パフォーマンスのよいのが 99円の物を100円で売る方であれば,こちらを取る。

    コンビニで売っている弁当は,賞味期限を過ぎると廃棄される。
    こうするのは,「鮮度」の問題にケース・バイ・ケースで対応するより,一律対応の方がコスト・パフォーマンスがよい (商品経済の理に適う) からである。
    コンビニで売っている弁当は,商品であって,食品ではない。
    食品は「もったいない」を思うものであるが,商品は「もったいない」を思うものではない。
    商品経済は,<資源蕩尽>を行動様式にする。


    コスト・パフォーマンスの考え方ができること,これは「競争力」(商品経済に生き残る能力) の根本である。
    この能力の陶冶は,「競争力」のうち「問題解決能力」の主題になる。
    「数学教育」は,「問題解決学習」を以てこの能力陶冶を担当していることになる。

    数学教育学は,生態学として,「能力」全般における「競争力」の位置を捉えようとする。
    このとき,植物生態学の主題になる「生き残り戦略」が,参考になる。

    「生き残り戦略」は,互いに独立な能力 (指標) として,つぎの3つを立てる:
      1. 対競争  :資源獲得競争に勝つ
      2. 対ストレス:ストレスに耐える
      3. 対攪乱  :攪乱に順応する
    ここでは,競争力は,<資源の乏しいところ,災害 (元の木阿弥) が定常のところでは発揮されない能力>の位置づけになる。
    競争力は,資源蕩尽能力である。