Up 商品経済学──恐慌論 作成: 2015-10-12
更新: 2015-11-07


    数学教育学は,現前の「数学教育」が商品経済に適応した数学教育であることを,捉える。
    数学教育学は,商品経済下の数学教育の生態系の学──この意味での,数学教育生態学──である。

    商品経済は,無くてよいものの生産・消費で回転する。
    商品経済は,無くてよいものの生産・消費──さらに,この生産・消費の量の拡大──を人が強いられる系である。
    「消費は美徳」(昭和の所得倍増時代の流行語) となるわけである。
    無くてよいものを無くてよいものとし,消費することをやめたら,たちまち経済崩壊となる。

    《商品経済は,無くてよいものの生産・消費で回転し,そしてこの生産・消費は量の拡大を強いられる》の学 (科学) を,「商品経済学」と呼ぶことにする。
    数学教育学は,商品経済下の数学教育の生態系の学として,商品経済学が基礎学の一つになる。

    「商品経済学」のことばは,一般用語として存在しない。
    これは,本テクストの造語ということになる。
    ただし,実質的に「商品経済学」である経済学は,存在する。
    即ち,恐慌論である。

    「恐慌」は,《無くてよいものが無くてよいものとして消費されなくなり,無くてよいものの生産が成り立たなくなる》が形の経済崩壊のことである。
    無くてよいものは,はじめから「過剰」なものである。
    商品経済は,原理的に,「バブル」である。
    恐慌論が「資本主義経済は過剰生産傾向を生む」と述べるとき,「資本主義経済」は「商品経済」のことであり,「過剰生産傾向を生む」の意味は「無くてよいものの生産・消費で回転し,そしてこの生産・消費は量の拡大を強いられる」である。