Up 「学校数学」の捉え 作成: 2015-10-30
更新: 2015-10-30


    数学が数学教育学の基礎学になる理由は,「数学をどう教えたらよいかは,数学を知らねば論じられない」ではない。
    「数学教育」は,数学を教えるのではなく,学校数学を教える。
    この学校数学の捉えに,数学の素養が要る。
    数学を知らなければ,「数学教育」を「数学を教える」だと思ってしまうわけである。

    数学教育学が「学校数学」を主題にする形は,「学校数学は,どうして現前の学校数学のようになるのか」である。
    数学教育学が行うのは,現前の学校数学の理由づけである。
    現前の学校数学の是非を述べることではない。
    そして,現前の学校数学の理由として数学教育学が示すものは,生態系のダイナミクスである。

    数学教育学は,現前の学校数学を,生態系のダイナミクスの含蓄と捉える。
    生態系のダイナミクスは,「理」である。
    そこで,現前の学校数学は,理が成っている形である。
    物理学は,現前を理が成っている形と定めて,その理を探る。
    数学教育学もこれと同じである。
    数学教育学は,現前を理が成っている形と定めて,その理を探る。