Up 「数学教育学」の生業と作法 (『5. 学会』) : 要旨 作成: 2015-11-20
更新: 2015-12-05


    「数学教育学」を生業にする者は,「数学教育学」の学会の会員になる。
    「数学教育学」の生業には,これの学会の会員になることが含まれる。

    学会は,会員がこれの意味をよく理解し,上手に付き合うところのものである。
    「上手に付き合う」では,「論文は学会仕様にきちんと合わせる」がいちばん肝心なことになる。
    実際,学会の会員になるのは,論文を出せるようになるためである。
    《論文は,学会論文として実現される》というわけである。

    しかし,探求には,学会仕様の論文にならないものがある。
    数学教育学は,探求がこのようなものになる。
    本テクストが強調するこの場合の「上手に付き合う」は,「生業と探求の二叉をかける」である。
    言えば当たり前のことであるが,改めて言われなければわからないことでもある。

    特に,数学教育学専攻の学生は,「改めて言われなければわからない」の場合にあたる。
    「生業と探求の二叉をかける」を知っていないと,探求を生業に合わせる無理をし,この無理が通らないことに悩むようになる。
    そして,まだ自信を持てない成長段階なので,構造的無理はたいてい自分の能力のせいにしてしまう。
    これは,悲観しなくてよい能力を悲観してしまうということである。
    言えば当たり前の「二叉」を特段に述べる所以である。