Up 非科学としての営み : 要旨 作成: 2015-11-24
更新: 2016-01-08


    科学の「蓄積と発展」は,定理の積み上げである。
    知ったこと・わかったことを,定理の形にして積み上げる。

    「定理」という形を成り立たせるものが,「理論」である。
    このようなものとして,理論は統辞論 (「推論形式」) と意味論 (「公理」) のセットになる。

    「引用・参考文献」の意味は,「引用・参考定理」である。
    引用されるのは,定理である。
    参考を促されるのは,定理である。


    「数学教育学」は,科学として立つものではない。
    位相は,「改良プロジェクト」である。
    「蓄積と発展」も,科学のいう「蓄積と発展」ではない。
    実際,「蓄積と発展」を定理の積み上げとして行えない。
    「引用・参考文献」の意味を「引用・参考定理」にできない。

    「数学教育学」の「引用」は,「誰某がこう言った」である。
    「誰某がこう言った」を「引用」として成立させる形は,「<権威>がこう言った」である。
    これは裏返すと,「数学教育学」は<権威>を必要とし,したがって<権威>を設けていかねばならない,ということである。

    「数学教育学」の「蓄積と発展」は,定理の積み上げではなく,論考主題の分化である。
    定理の積み上げを上方展開とすれば,主題の分化は横展開である。
    「数学教育」は複雑系であるから,横展開のネタ探しには困らない。


    「数学教育学」は,「理論と実践」を唱える。
    「理論と実践」は「実践理論と実践」であり,これはプロジェクトのスローガンである。
    実際,「数学教育学」は,プロジェクトを身分とするものである。

    プロジェクトの「理論と実践」に対し,科学は「理論と実証」である。
    数学教育学 (数学教育生態学) は,「理論と実証」を唱えるものになる。

    「理論と実践」は「実践理論と実践」であり,実践理論の実践は「‥‥をすべし」の実践である。
    こうして,「数学教育学」の「理論と実践」は,「倫理と実践」である。
    対して,数学教育学 (数学教育生態学) の「理論と実証」は,「論理と実証」である。