Up 「数学を勉強する」の次元 作成: 2016-01-02
更新: 2016-01-02


    「数学を勉強する」の現前は?
    「数学を勉強する」の現象は,いろいろである。
    「数学を勉強する」の現前の捉えは,現象の「いろいろ」の押さえから始まる。

    「いろいろ」の押さえは,はじめによく構造化して掛からないと,グチャグチャになる。
    「構造化の方法」の考え方は,「形式はシンプルだが,内容は薄くならない」である。
    そのような方法として,ここでは「次元」を挙げておく。

    例えば,「数学を勉強する」の次元として,つぎの6つを考えてみる:
      1. 勉強の動機
        1. 数学に興味がひかれる
        2. 数学が道具として要る
        3. 数学を生業にしている
        4. 数学を勉強しないのは,まずいことなのかも
      2. 主体性
        1. 自分で課している
        2. 他から課されている
      3. 勉強の様相
        1. 探索
        2. 教えてもらう
      4. 勉強のメディア
        1. 自然
        2. テクスト
        3. 授業
      5. 数学の経験値
        1. 高い
        2. 低い
      6. 勉強の好悪
        1. 好き
        2. 嫌い
    この場合,4×2×2×3×2×2=192 通りの「いろいろ」が得られる。
    中には,論理的に無意味な組み合わせもあるが,簡単に思いつくままやった割には,けっこう網羅的な「いろいろ」が得られて,わるくない結果である。

    この「いろいろ」に対し,つぎの「趣味」「仕事」「責務」「他律」を4極に考える:
    「趣味」 「仕事」 「責務」 「他律」
    勉強の動機 数学に興味がひかれる 数学を生業にしている 数学が道具として要る 数学を勉強しないのは
    まずいことなのかも
    主体性 自分で課している 他から課されている
    /自分で課している
    他から課されている
    /自分で課している
    他から課されている
    勉強の様相 探索 探索 教えてもらう 教えてもらう
    勉強のメディア 自然/テクスト 自然/テクスト テクスト/授業 授業
    数学の経験値 高い/低い 高い 高い/低い 低い
    勉強の好悪 好き 好き/嫌い 好き/嫌い 嫌い

    適用例
     (1) 「数学を勉強する」の普遍は,「探索/遊び」で考えることになる。「探索/遊び」は,ここでいう「趣味」である。
     (2) 数学教育学を生業う者にとって,「数学を勉強する」は「仕事」のうちである。
     (3) 「産業立国」のスローガン「国民は産業の基礎科学のさらに基礎学である数学を学ばねばならない」に応じる「数学を勉強する」は,「責務」である。
     (4) 「全員のための数学教育」での生徒の「数学を勉強する」は,「他律」が多数派になる。