Up | 学校数学の系統性 | 作成: 2015-11-09 更新: 2015-11-09 |
この系統性がこの先どうなるかは,学校数学生態系のダイナミクス次第である。 例えば,数学教育を「問題解決学習」にしようとする者にとって,系統性は扱いにくいものになる。 「離散数学」の題目が立てられることがあるが,それは学校数学をトピック的な内容で構成できないかの思いからである。 現前の学校数学の系統性は,小学数学 (「算数」), 中学数学,高校数学で,ほぼ同じ数学的内容を,スパイラルにグレードを上げていくようになっている。 内容の追加ではなく,内容のグレードのスパイラル上昇である。 例えば,小学数学の「平均」「相伴って変わる2量」は,高校数学で「微積分」になる。 小学数学の「数と量」は,高校数学で「ベクトル」になる。 (「量の比としての数」が,「ベクトルの係数 (スカラ)」になる。) やさしい内容がだんだん難しくなるのではない。 内容は,最初から難しい。 難しい内容をわからないように授業するのに,能力は要らない。 難しい内容をわかるように授業するのが,能力である。 この能力の陶冶は,「修行」である。 修行は,余裕があってできることである。 教職のキャリア形成は,この余裕をもてない。 教員は,現行の学校数学の内容でも,授業する能力を持たない者ということになってしまう。 学校数学の系統性のこの先は学校数学生態系のダイナミクス次第であり,そしてそれは,ここで述べた類のことがモーメントになる。 |