Up 表象主義 作成: 2015-11-23
更新: 2016-01-29


    「数学的○○」が数学教育生態学の主題になる形の一つは,「表象主義」である。


    現前の「数学教育」「数学教育学」は,認知科学をベースにしている。
    認知科学をベースにすることは,表象主義につくことである。

    「数学教育学」は,「問題解決指導──問題解決能力を身につけさせる指導」を立てる。
    このとき,「数学教育学」は,《「問題解決力」は,狙ってつくれる》を立場にしている。
    この立場は,一つの存在論である。 ──「数学教育学」は,一つの存在論に立っている。
    その存在論は,言語写像論/表象主義である。

    「数学教育学」は,よく「広辞苑」を引く。
    実際,「数学教育学」は,これを方法論にしている。

    いま,「問題を解く」の下位概念になることばを,辞書から片っ端に引く。
    そして,引いてきた「○○する」に対し,「力」をくっつける。
    「○○する力」になる。
    「数学教育学」は言語写像論を存在論にするから,「○○する力」は実在/実体である。
    これらの「力」を,概念の含意関係にしたがって並べる。
    「問題解決能力」の曼荼羅図が出来上がる。
    この作業は,「数学教育学」の研究として成り立つ。
    即ち,論文・論説になる。

    「問題解決能力」の曼荼羅図を「力」の曼荼羅図のように書くと,「力」が際限無く出てきて,つくっている当人にとっても,さすがに現実味が無くなる。
    そこで,「力」ではなく「構え」にしたらどうかとなる。
    「○○する」を,「力」ではなく「ストラティジー」にする。
    こうして,「問題解決能力」の曼荼羅図は「問題解決ストラティジー」の曼荼羅図になる。
    この作業も,「数学教育学」の研究として成り立つ。

    つぎに,曼荼羅図の中の各「力/ストラティジー」についての各論をつくる。
    この作業も,「数学教育学」の研究として成り立つ。
    そして,「力/ストラティジー」は際限なくあるから,この「研究」は量産できる。

    こうして,「数学教育学」は,「問題解決学習」のテーマで,しばし生業を保てる。
    実際,「数学教育学」は,こんなふうに生業を保っている。

    「数学教育学」の成功は,生業の成功であり,それは「研究」を大量生産できるテーマが立てられるかどうかにかかっている。
    「数学教育学」が言語写像論/表象主義を存在論にしているのは,「数学教育学」の存在論は「研究」を大量生産できる存在論でなければならず,そしてそれは言語写像論/表象主義だからである。