Up 「数学教育/数学教育学」のダブルバインド 作成: 2015-12-07
更新: 2016-01-24


    <意味をもたない自分>の抑圧は,いわば,自分のDNAの抑圧である。
    精神分析学の「無意識」のことばを用いれば,「無意識の闇へ押し込める」である。
    抑圧は,抑圧に過ぎない──消去ではない。
    無意識の闇へ押し込めただけである。
    無意識の闇へ押し込めたものは,「無意識に」という格好で,おもてにつねに現れている。
    人は,生業う自分と抑圧した自分のダブルバインドを生きている。

    数学教育を生業にする者は,「数学教育」と数学教育のダブルバインドを生きる者である。
    数学教育学を生業にする者は,「数学教育学」と数学教育学のダブルバインドを生きる者である。


    物には,気配がある。
    数学教育学を生業にして「数学教育学」と数学教育学のダブルバインドを生きる者は,時に数学教育学の気配に気づく。
    ある者は,さらに,この気配の正体をはっきりさせたいと思い,この気配の正体をはっきりさせる作業を「探求」として開始する。
    これを,数学教育学として行う。
    数学教育学とは,抑圧した数学教育学を取り戻す営みのことである。