Up 幻想解脱──存在へのリスペクト 作成: 2016-01-20
更新: 2016-01-20


    <生きる>は,意味・目的をもたない。
    しかし,ひとは<生きる>に意味・目的をつけたがる。
    そして,「先に俟っている何か」で<生きる>を意味づけ,「先に俟っている何か」を<生きる>の目的にする。
    <生きる>に意味・目的をもたせるために,幻想をつくる。
    あるいは,幻想をつくるから,<生きる>が意味・目的をもたされるものになる。

    幻想を解脱して,ただの<生きる>──即ち,意味・目的をもたされない<生きる>──に戻ることにする。
    幻想の中に自閉することで疎遠にしてきたリアリティーが,蘇る。
    蘇るといっても,ずっと疎遠にしてきたので,先ずはノイズである。
    赤ん坊が学習するように,このノイズを学習する。
    ちなみに,現象学の謂う「現象学的還元」とは,このことである。

    幻想を解脱して蘇るリアリティーには,何が見えるか?
    存在のすごさが見える。

    <すごい>は,リスペクトである。
    幻想を解脱するとき,存在がリスペクトするものとして現れる。
    意味・目的をもたない<生きる>の相は,「存在へのリスペクト」である。