Up 思想 : 要旨 作成: 2016-01-19
更新: 2016-01-21


    数学教育学が科学になる形は,数学教育生態学である。
    この数学教育学は,それ独自の思想を現す。

    その思想は,現前の「数学教育」を理の実現と定める思想である。
    現前の「数学教育」「数学教育学」が立てる数学教育の目的論,教授/学習論を,数学教育生態系の理の必然と定めることになる思想である。
    思想のタイプとしては,「現成論」である。

    現成論は,パラドクシカルな論である。
    「パラドクシカル」にしているものは,「自己言及」の構造である。
    「自己言及」は,カラダと目の分裂であり,「幽体離脱」である。

    ここにさらに,生態学の「曖昧模糊」が合わさる。
    「曖昧模糊」の中身は,探求内容の「広い・深い・複雑」である。
    特に,「カラダ」の話になるときは,不可知論を決め込むしかない。

    こうして,数学教育学は,「数学教育学」にあっては論点先取になることを,奔放に行う様になる。

    数学教育学は,自身の思想のこの特徴をよく自覚するものである。
    一方,自分の思想は,自分にも不明なものである。
    ここに,数学教育学は,自身の思想を明示的に主題化することになる。
    ──実際,数学教育学とは数学教育学の思想のことである。


    本論考では,数学教育学の思想を,つぎの項目に分類して示す:
    1. 「幻想」論
    2. 「数学的○○」論
    3. 「反表象主義」論
    4. 「カラダ」論
    5. 「系」論
    6. 「疎外」論