Up 非実体論 作成: 2014-09-09
更新: 2016-01-12


    本論考は,つぎの命題を立てる:
      存在は, <系−個>構造

    そこで,存在の定立は,つぎの2通りになる:
      1. 意識対象が<個>として位置づく<系>を想う
      2. 意識対象を<系>として想う


    存在は一つの<系─個>の個であるとともに一つの<系─個>の系であるから,命題「存在は, <系−個>構造」はつぎの命題を含意する:
      存在は, <系−個>連鎖
    実際,<系−個>存在論は,人の立てる「存在」を<系−個>階層構造に見る存在論である。


    <系−個>連鎖は,ロジックでは,上方・下方無際限となる。
    しかし,現実的には,<系−個>連鎖は上限・下限が自ずと現れると考えることになる。
    そしてそれは,単に<系−個>連鎖がちょん切れるというふうではなく,<系−個>の様相がひどく変わったものになるというふうである。

      実際,物理学の営為になる<系−個>存在論では,下限は「量子論」,上限は「宇宙論」となり,そしてそこでの<系−個>は,本論考が用いる<系−個>の形式的図式に収まらないものになる。


    <系−個>存在論は,非実体の存在論である:
      「実体」は,存在に対する<個>の捉えである。
      その「実体」は,存在を系の相で捉えるとき,消失する。
      この系の中の個に「実体」を求めようとしても,だめである。
      これは,同じことの繰り返しになる。
      <系─個>連鎖での「個」の溯行は,終点がない。

    「存在は非実体」は,観念論ではない。
    「存在は非実体」は,物理である。