Up 「天空の城ラピュタ」 作成: 2016-02-10
更新: 2016-02-10


    商品経済は,商品生産・流通・消費の螺旋運動である。
    この螺旋に一旦入ると,薬物依存と同じで,抜けられない。
    指数関数的に図体を大きくして,盛者必衰の理(ことわり)をあらわすことになる。

    自分のための生産・流通・消費なら,物理的・化学的諸事情から慎ましくなるのみだが,人間は《自分の将来の生産・流通・消費を予約》というやり方を発明するようになる。
    「金 money」である。
    金は保存が利く
    ひとは,物の生産を,「金に換える物の生産」に変えていく。
    商品経済というわけである。
    ──「最初から金に換えるために生産する物」のことを「商品」と呼ぶ。

    商品経済の生産は,「ひとの役に立つものをつくる」ではない。
    「金になるものをつくる」である。
    金になるものだったら,何でもよい。

    自分の商品生産を「金になるものをつくる」にするために,「この商品はよい」の幻想をつくる。
    商品経済は,幻想経済である。
    「商品を売る」は,「幻想を売る」である。


    金は保存が利く。
    生産しただけ金になるとなれば,限界まで生産する。
    商品経済は,生産の螺旋である。
    そして,生産拡大は人口増加と相乗するので,商品経済は人口増加の螺旋である。

    生産は,資源消費である。
    商品経済の「限界まで生産する」は「限界まで資源を消費する」である。
    こうして,商品経済は,資源獲得の螺旋である。


    資源獲得は,地表から地下,水中に進む。
    そして,どんどん深く潜っていく。

    領海の深海でのレアメタル発見は,朗報である。
    ただし,薬物を自前で持てるという意味で,朗報である。
    レアメタル依存の螺旋 (「レアメタル中毒」) の一段進化である。

    「飛行石」を一旦知ってしまうと,これに依存する生き方 (「中毒」) になり,「天空の城」になって滅びる。
    「金」を一旦知ってしまうと,これに依存する生き方 (「中毒」) になり,「天空の城」になって滅びる。
    これは,どうしようもない。
    中毒の中毒たる所以は,「持続可能 sustainable」な生き方──「土に根をおろし,風と共に生きよう。種と共に冬を越え,鳥と共に春をうたおう」── はできないということである。

    生態学は,「中毒はいけない」を言うものではない。
    「人間とは中毒で生きるものだ」を言うものである。
    人の<生きる>は,<中毒を生きる>である。
    これの他にはない。
    是非もなし──現成である。


    以上は,生態学である。
    本テクストは,普遍学を立てる。
    「普遍学をやる」ではなく「普遍学を立てる」である。
    「やる」とはとても言えないからである。

    普遍学をやるとは,何をすることか。
    つぎの風景を一応思ってみる,をすることである:
     《「土に根をおろし,風と共に生きよう。
     種と共に冬を越え,鳥と共に春をうたおう」》

    生態学・普遍学は,<死>の学である。
    <死>の学は,つぎが趣旨である:
      「<死>から<生>をのぞむことが,<生きる>の秘訣」