Up 「そもそも論」 作成: 2016-02-13
更新: 2016-02-13


    普遍学は,哲学の話のように受け取られないよう注意する。
    「哲学の話」とは,「超越論的 Transzendental」「現象学的還元」 の類である。

    普遍学とは,簡単にいうと「そもそも論」である。
    「そもそも論」は,ありふれている。
    普遍学は,ふつうのことである。


    ただし,普遍学は,「そもそも論」と同じではない。

    本論考は,「普遍」を,「普遍溯行」で考える。
    普遍は,構造的に「無限回超越」である。
    一つのことの「普遍」は,いくつもある。
    これに対し,「そもそも論」は「一回超越」ということになる。

    また,「そもそも論」は,「そもそも ‥‥ だ」の二の句は「‥‥ に帰らねばならない」である。
    一方,普遍学では,二の句は「‥‥ にはいまさら帰れない」である。

    普遍学は生態学とペアである。
    「‥‥ にはいまさら帰れない」を明らかにするパートが,生態学である。


    わかりやすい例が「原発」である。

    原発は,「トイレ無きマンション」である。
    糞尿は,外に出てしまったらアウトである。
    糞尿の管理期間は,100万年が設定される。
    「100万年」は,人間が考えることのできない時間である。
    こうして,「原発はお先真っ暗」である。

    一方,人は電気依存の生活を身につけてしまった。
    電気依存は,電気中毒である。
    人は,電気に不自由であることができない。

    石化資源を政情不安定な国に依存するのは,不安である。
    価格が相手の言いなりの構造も,不安である。
    自前でいけたら,安心できる。

    こうして,「電気に不自由」か「原発」か?の選択を迫られたら,人は「原発」を択ることになる。
    「是非もなし」というわけである。