Up 相対主義 作成: 2016-01-30
更新: 2016-01-30


    深海の2000気圧,温度100度以上の場所に棲む細菌がいる。
    その細菌は,人の棲むふつうの環境では生きられない。
    その細菌にとっては,2000気圧,温度100度以上が「ふつう」であり,人は「過酷・異常」な場所に棲む生物である。
    「ふつう」は,相対的である。

    《「ふつう」は相対的》の考えは,相対主義と呼ばれてきた。
    学問のいろいろな分野に「比較学」がある。
    これは,これは相対主義を行うものである。

    本論考は,数学教育学を,現前の「数学教育」「数学教育学」の生態学と定めた。
    数学教育学は,現前の「数学教育」「数学教育学」を生態系に観る。
    この「生態系に観る」の立場は,自ずと相対主義である:
      《「数学教育」「数学教育学」のふつうは,ふつうでない》


    本論考は,数学教育生態学の相対主義に対する<自覚>を,「数学教育普遍学」として表す。
    ここで「普遍」は,<《「ふつう」は相対的》を観る目>の位相を表すことばとして用いるものである。

    なぜ,「相対主義」ではなく「普遍学」なのか?
    相対主義は,「相対的」を言ってお終いの様になる。
    相対主義は,思考停止に通じる。
    事実は,《「ふつう」は相対的》を観る目は,これもまた相対的である。
    「普遍学」のことばは,「相対主義」という安住の場はないことを,自覚するためである。