Up 経験と勘で挑む 作成: 2008-08-04
更新: 2015-12-10


    研究の主体は,経験値である。
    経験値が,研究する。

    ある研究者の発見/推論/理論化は,その研究者の経験値をもたない者には読めない。
    研究共有は,人の経験値に依存する。
    経験値が,研究共有する。

    「経験値」は,学によって内容・程度・タイプが異なる。
    数学であれば,研究者の経験値をつくるものは数学との取り組みの経験であり,例えば人生経験といったものは無視できる。
    これに対し,数学教育学では,実にいろいろなことが経験値の内容になってくる。 ──ここで「いろいろ」の意味は,「たくさんある」と「同定できない」の両方。

    特に,数学教育学では (教育学一般がそうであるが),「歳をとる」という形の経験値が重要なものになる。
    この「歳をとる」は,近道がない。
    近道がない経験値に依存する研究は,決定的な研究共有不能を,予め見込むことになる。