Up 超「リサーチ」 作成: 2008-09-09
更新: 2015-12-28


    学会は,「研究の積み上げ」をつくり出すところである。

    「研究の積み上げ」は,「定理の積み上げ」である。
    「定理」の意味は「真な命題」であり,「真」の意味は「証明可能」である。
    命題には,論理命題と事実命題があり,それぞれ論証と実証が証明の形になる。

    翻って,論証ないし実証のしくみをもたない「学」に,「研究の積み上げ」はない。
    論証ないし実証のしくみをもたない「学」に,学会は立たない。

    「論理命題・論証」が立つのは,規範学である。
    規範学になっていない「学」の「研究の積み上げ」は,「事実命題の積み上げ」である。
    「事実命題」は,「リサーチ」でつくる。
    こうして,規範学になっていない「学」は,「リサーチ」が研究スタイルになる。

    「数学教育学」は,規範学になっていない「学」にあたる。
    したがって,「事実命題の積み上げ」が「研究の積み上げ」の意味であり,「リサーチ」が「研究」の意味である。
    「数学教育学」のリサーチは,つぎの形式が基本的である:
      1. 「実験」として数回の授業を行い,
      2. ある行動様式が「とれる・とれない」のテストを行い,
      3. 実験群と制御群の間に有意差が計測されたことを報告する。
    学会論文の仕様は,研究スタイルを「リサーチ」に想定してつくるものとなる。

    数学教育学は,「リサーチ」に馴染まない。
    数学教育学は,推理をする。
    経験論・実感論をやり,論点先取をあたりまえに行う。
    なぜそうするか?
    探求を進めるためである。

    実際,「リサーチ」では,探求は進まない。
    「リサーチ」によってつくられる命題は,わかり切ったことにグズグズする体(てい)である。

    「リサーチ」のこの先の道程の果てしなさを見てとる者は,「リサーチ」と探求を分ける者になる。
    即ち,「リサーチ」は学会の中,探求は学会の外,と定める。