Up 論文の管理 作成: 2008-09-09
更新: 2015-10-14


    学会の契機は,大学教員職に就く競争が《学術論文の本数で競争》になっている状況である。
    学会の意味 (存在理由・機能) は,《学術論文を自前で出す》である。
    学術論文の本数を稼ぐ手段として,学会はつくられる。

    《学術論文を自前で出す》は,自分勝手にはできない。
    学会は,社会から「その学会は学術論文を自前でつくる資格がある」の評価を得ていることが必要になる。
    学会は,この信用を獲得しそして保持し続けることが務めになる。

    学会に対する信用は,学会の内部論文 (「学会論文」) に対する学会の品質保証に対する信用である。
    そこで,内部論文の品質管理が,学会の第一の業務になる。
    こうして,厳格な論文審査システムの構築へ進む:
    1. 論文形式
    2. 論文受理のレフリー制 (「査読」のシステム)

    しかし,論文審査が学会論文のハードルを上げ学会論文の本数を減らすことになったら,これは学会の自家撞着になる。
    学会は,学術論文の本数を稼ぐ手段としてつくったものだからである。

    実際,学会はこの自己矛盾を生きる。
    学会は,審査の厳格化と緩和を行ったり来たりする。
    即ち,厳格化の不都合が顕著になってきたら緩和に転じ,緩和の不都合が顕著になってきたら厳格化に転じる。
    路線転換は過去忘却が必要であるが,人は都合よく過去忘却するようにできている。
    ──世代忘却というのも,あったりする。

    論文の諾否の基準は,時のパラダイムである。
    パラダイムの現象は,大数の法則の現象である。
    パラダイムを審査に現す方法は,一論文に対するレフリーの数を多くすることである。

      「レフリーを複数にして評価の偏りを無くす」の意味は,「公平」ではない。
      「パラダイムを現す」である。