Up 所与「学校数学」──数学疎外 作成: 2017-07-31
更新: 2017-07-31


    人の個は,社会の中に生まれる。
    個にとって,社会の制度は所与である。

    所与は,その中に棲んでいるときには見えない。
    所与が見えない位相では,個の<生きる>は<自己目的化した生きる>になる。
    <こうすることになっているからこうする>になる。


    この社会は,制度の一つに学校数学がある。
    この社会に生まれてきた者にとって,学校数学は所与である。
    彼らの学校数学と係わる形は,<数学を学ぶことになっているから学ぶ><数学を教えることになっているから教える><数学を唱道することになっているから唱道する>になる。
    彼らは,社会の員の役務として学校数学に係わる。

    <員の役務として学校数学に係わる>は,<自分の作ったものによって自分が支配される>である。
    構造として,<疎外>である。
    実際,個は早晩,<員の役務として学校数学に係わる>に躓くようになる。
    そして,「数学疎外」に苛立ったり悩んだりする者になっていく。