Cf. フタモンアシナガバチ
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松浦誠・大滝倫子・佐々木真爾 (2005), pp.12-14
形態:
体長14〜19mm、
フタモンアシナガパチに似ているが、やや大型でとくにオスで顕著。
オスの頭楯下端はフタモンアシナガパチでは円いが、本種では鋭く尖り、和名の由来となる。
フタモンアシナガパチは大顎の先端部が黄色、本種は黒色なので区別できる。
分類・分布:
北海道の渡島半島を除く平地から山地に局地的に分布し、日当りの良い草むら、笹薮、川原等に多く、森林の中では見られない。
発生経過:
越冬後の女王が巣をつくり始めるのは、北海道北東部の十勝地方では6月上旬、中部の石狩地方では5月中旬である。
両地方とも、働きパチ、オスと新女王の羽化期はそれぞれ7月中旬〜下旬、8月上旬〜9月となる。
交尾は、8〜9月に、日当たりのよい草むらで行われ、オスは一定の場所を縄張りをつくって飛び回る。
巣の解散は9月中〜下旬で、寒冷地ほど早まる。
造巣習性:
営巣場所は、地表に近い草木の細枝、枯茎などに多く、岩面にも見られる。
巣は横向きまたは下向き。
巣は長円形で灰色、育房の壁は粗い繊維質で、巣柄は黒色で漆状の上塗りがある。
育房の直径は5〜6 mm、深さは30〜45mm。
繭のふたの表面は、営繭直後は白いが、のちに黒くなる。
営巣規模:
女王は働きバチの羽化前に50〜80房をっくり、営巣末期でも総育房数が100を越えることは稀。
働きバチの数は、通常数頭〜十数頭で、20頭を越えることは稀。
オスと新女王の総羽化数はそれぞれ10〜20頭および10〜50頭で、稀に新女王が100頭を越える。
また、新女王の方が一般にオスよりも3〜5倍と多く羽化する。
食性:
各種のチョウ、ガの幼虫、バッタ等を狩り、幼虫に与える。
炭水化物源として、アブラムシ、カイガラムシ、キジラミ等の甘露を集め、ヤマブドウ等を訪花する。
攻撃性:
威嚇性、攻撃性ともそれほど強くないが、巣のついている枝を刺激すると、働きパチが一斉に飛び散って刺しにくる。
7〜8月に、山地で植林地の下草刈りの際に刺される場合がある。
8〜9月には、交尾のため、オスが営巣場所周辺の草むらを群れをなして飛び回り、恐怖感を与えることもあるが、人を襲うことはない。
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- 引用/参考文献
- 松浦誠・大滝倫子・佐々木真爾 (2005) :『蜂刺されの予防と治療──刺す蜂の種類・生態・駆除、蜂刺され対策と医療』, 林業・木材製造業労働災害防止協会, 2005.
- 参考Webサイト
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