Up トガリフタモンアシナガバチ (尖二紋脚長蜂) 作成: 2015-06-29
更新: 2019-04-08


分類: ハチ目 | 細腰亜目 | 有剣類 | スズメバチ上科 | スズメバチ科 | アシナガバチ属


ケース 観察期間
01 2014-08-13


Cf. フタモンアシナガバチ
      松浦誠・大滝倫子・佐々木真爾 (2005), pp.12-14
    形態
    体長14〜19mm、
    フタモンアシナガパチに似ているが、やや大型でとくにオスで顕著。
    オスの頭楯下端はフタモンアシナガパチでは円いが、本種では鋭く尖り、和名の由来となる。
    フタモンアシナガパチは大顎の先端部が黄色、本種は黒色なので区別できる。
    分類・分布
    北海道の渡島半島を除く平地から山地に局地的に分布し、日当りの良い草むら、笹薮、川原等に多く、森林の中では見られない。
    発生経過
    越冬後の女王が巣をつくり始めるのは、北海道北東部の十勝地方では6月上旬、中部の石狩地方では5月中旬である。
    両地方とも、働きパチ、オスと新女王の羽化期はそれぞれ7月中旬〜下旬、8月上旬〜9月となる。
    交尾は、8〜9月に、日当たりのよい草むらで行われ、オスは一定の場所を縄張りをつくって飛び回る。
    巣の解散は9月中〜下旬で、寒冷地ほど早まる。
    造巣習性
    営巣場所は、地表に近い草木の細枝、枯茎などに多く、岩面にも見られる。
    巣は横向きまたは下向き。
    巣は長円形で灰色、育房の壁は粗い繊維質で、巣柄は黒色で漆状の上塗りがある。
    育房の直径は5〜6 mm、深さは30〜45mm。
    繭のふたの表面は、営繭直後は白いが、のちに黒くなる
    営巣規模
    女王は働きバチの羽化前に50〜80房をっくり、営巣末期でも総育房数が100を越えることは稀。
    働きバチの数は、通常数頭〜十数頭で、20頭を越えることは稀。
    オスと新女王の総羽化数はそれぞれ10〜20頭および10〜50頭で、稀に新女王が100頭を越える。
    また、新女王の方が一般にオスよりも3〜5倍と多く羽化する。
    食性
    各種のチョウ、ガの幼虫、バッタ等を狩り、幼虫に与える。
    炭水化物源として、アブラムシ、カイガラムシ、キジラミ等の甘露を集め、ヤマブドウ等を訪花する。
    攻撃性
    威嚇性、攻撃性ともそれほど強くないが、巣のついている枝を刺激すると、働きパチが一斉に飛び散って刺しにくる
    7〜8月に、山地で植林地の下草刈りの際に刺される場合がある。
    8〜9月には、交尾のため、オスが営巣場所周辺の草むらを群れをなして飛び回り、恐怖感を与えることもあるが、人を襲うことはない。


  • 引用/参考文献
    • 松浦誠・大滝倫子・佐々木真爾 (2005) :『蜂刺されの予防と治療──刺す蜂の種類・生態・駆除、蜂刺され対策と医療』, 林業・木材製造業労働災害防止協会, 2005.

  • 参考Webサイト