Up | 右往左往 | 作成: 2018-10-30 更新: 2018-10-30 |
良いのをビデオ録画するつもりでスタンバっていたのだが,つまらないのばかり。とその中に,際立ったのが二つ現れた。 エレカシとブルーハーツである。 エレカシは「おはようこんにちは」一曲,ブルーハーツは「リンダリンダ」ともう一曲 (「TRAIN-TRAIN」?)。 その後,ビデオで繰り返しけっこう見たものである。 (機器がβだったので,テープは処分して既に無い。) まだ,<座ったまま,拍手はしない,アンコール演奏なし>のスタイルのときであった。 才能全開期ではあるが,その才能は若気の気負い・浅はかとの同居である。さむい作品こもごも。 それでも「生活」(1990) まではクオリティーを保ちまた高めていく。 「エレファントカシマシ5」(1992) になって,あやしくなってくる。 同じことを延々と続けるわけにはいかない。 アルバム売り上げの問題もある。 新しいスタイルを加えていかねばならない。 しかし,これが難しい。 ポニーキャニオンに移っての「ココロに花を」(1996) と「明日に向かって走れ」(1997) は,売れ線狙いがはっきり入ってくる。 ポップな曲も上手につくるということで,楽曲づくりの才能を再認識するところとはなるが,エレカシを傑出させてきたものが明らかに後退してしまう。 東芝EMI・キャピトルに移って,またスタイルに変化が現れる。 才能全開期は「爆発」がスタイルだったが,これを収める時期が来たということである。 「ライフ」(2002) は,曲は悪くないが,感心させるというものでない。 ただし,これは「俺の道」(2003) への助走と見ればよい。 「俺の道」は,ここまでの自分の総括である。 曲を挙げれば,特に「覚醒 (オマエに言った)」。 このアルバムは,掛け値無しにエレカシの傑作である。 しかし,つぎの「扉」(2004) はよくない。 傑作の後は,えてしてこうなるものである。 「風」(2004) で,少し持ち直す。 「町を見下ろす丘」(2006) は,良い。 しかし,「俺の道」が既にあるので,どうしてもこれの修飾という感じになる。 そして,ユニバーサルミュージック・A&Mレコードに移る。 「STARTING OVER」(2008), 「昇れる太陽」(2009) で,J-POP 路線に乗る。 これは,自分たちのいいところ潰しになる。 落ちる先は低迷:「悪魔のささやき」(2010), 「MASTERPIECE」(2012)。 特に「MASTERPIECE」の低調ぶりは,痛々しい程。 「RAINBOW」(2015) は, これは,有り体に言って<衰えを化粧でごまかす>路線だが,たしかに大曲はできた。 J-POP 路線・大曲路線は,「俺の道」とは正反対の方向に振れるものだが,しかしこれは「コンプレックス」を乗り越えるためには必要なプロセス。 さて,「俺の道」の次段は,<円熟を以てこれを収める>である。 それが「Wake Up」(2018) で成された。 原点回帰──原点に覚醒し RESTART する──を<円熟>の 「Wake Up」は,傑作である。 エレカシは,初期の爆発,これを収める「俺の道」,そして円熟の「Wake Up」,と進んできた。 そしてその間を,紆余曲折が埋めている。 主調 main stream は, エレカシの主調 <爆発→「俺の道」→「Wake Up」>は,エレカシの<右往左往>と合わさってこそのものである。 ──見返せば,すべてのことに意味がある。 |