Up 人工知能 : 要旨 作成: 2021-07-07
更新: 2021-07-07


    SF に出てくる近未来は,AI による人間支配。
    ひとは,AI が人間の知能を超える将来を想う。
    そして,その社会を不気味とする。

    というわけで,「新時代の自由」を主題化するときは,AI について一応触れておくことになる。


    AI は,パターンを学習し,パターン認識の能力を身につけ,そしてパターン認識を実践するコンピュータである。
    ここで新規学習が自動的に行われるようにすると,AI は能力が進化するコンピュータになる。
    この進化が,AI が不気味に思われる第一点である。

    AI でないコンピュータは,処理手順を書いたプログラムで動くコンピュータである。
    処理手順を踏み,処理が尽きたところで作業終了となる。
    インプットからアウトプットまでの過程は,プログラムに記述されている通りであり,言語で記述できる。
    一方 AI は,インプットからアウトプットまでの過程は,言語で記述できない。
    言語で記述できないとは,ひとにとって何が起こっているのかわからないということである。
    これが,AI が不気味なものになる第二点である。


    AI がつくられることになったのは,処理手順をプログラムに書くという方法では,パターン認識能力を実現できないためである。
    パターン認識は,言語では記述できないのである。
    いくらことばを費やしても足りないというふうになる。
    そしてこれは,パターン認識が複雑過ぎるということではない。
    パターン認識に言語はそもそも対応しないということなのである。
    ──これは,だれでも知っていることである (「知覚的なものは,ことばに翻訳できない!」)


    さてこの AI だが,人間支配までは及ばない。

    人間支配は,高度に総合的なパターンの処理である。
    これは,かなりできるようになったとしても,必ずしくじりをやってしまう。
    (例えば,天気予報 AI は予報にしくじることが必ずある。)

    ひとは,AI のしくじりを見ると,AI を信用してはならないものと定める。
    是々非々で AI と付き合っていこうという構えになる。
    ひとは,人のしくじりは忘れるが,人以外のもののしくじりは忘れない──さらに,誇張して伝承する──のである。