Up GAFA のビジネス 作成: 2021-07-14
更新: 2021-07-14


    GAFA はビジネスである。

    (1) Google
    産業は,生産物を商品として売る営みである。
    自分の商品を買ってもらうためには,先ずこれの存在を知ってもらわねばならない。
    生産者は,効果的な宣伝媒体を求める。

    ある商品サイトがネット検索のヒットリスト上位に現れることは,その商品の宣伝になる。
    そこで,検索サイトの運営は,生産者から広告料を取れるビジネスになる。

    Google のビジネスは,これである。
    強力な検索サイトであるほど,広告の求めが多くなり,そして広告料も高く設定できる。
    Google の様々な仕掛けは,自身を検索エンジン企業としてますます強力にしていく必要から出てくるものである。
    人の知的生活を便利にしてあげようという篤志からそれをつくっているわけではない。


    (2) Facebook
    商品の宣伝は,購買意欲を喚起するものとしてつくる。
    売るとは,押し売りをするということである。
    そこで,押し売りが効く相手の一覧が欲しくなる。
    ターゲットが絞られれば,売りやすくなるわけである。

    そこで,その一覧をつくり,これを求める者へ売る,というのがビジネスになる。
    Facebook のビジネスは,これである。
    Facebook の様々な仕掛けは,自身を個人情報の収集・構築企業としてますます強力にしていく必要から出てくるものである。
    人のコミュニティ生活を便利にしてあげようという篤志からそれをつくっているわけではない。


    (3) Amazon
    生産者は,自分の商品をひとが買いにくる場所が必要になる。
    即ち,販売店である。
    それが,商品見本市のブースみたいなのが一個で実現できるのだったら,すごく有り難い。

    そこで,その見本市をつくり,見本市で商品を注文した人に商品を配達する,というのがビジネスになる。
    Amazon のビジネスは,これである。
    Amazon の様々な仕掛けは,自身を商品流通企業としてますます強力にしていく必要から出てくるものである。
    人の消費生活を便利にしてあげようという篤志からそれをつくっているわけではない。


    (4) Apple
    いまは「何をするにもインターネット」の時代である。
    ひとは,個人でネット端末を携えねばならない。

    そこで,魅力的なネット端末をデザインし,ネット端末販売の分野での圧倒的1位になる,というのがビジネスになる。
    Apple のいまのビジネスは,これである。
    Apple の様々な仕掛けは,自身をネット端末の販売企業としてますます強力にしていく必要から出てくるものである。
    人のネット生活を豊かにしてあげようという篤志からそれをつくっているわけではない。


    以上の要約では,GAFA は棲み分けが成っているように見える。
    しかしそれは,小競り合いの均衡といったものである。
      地上への光の到達を遮る樹冠の模様が,木々の棲み分けの表現ではなく,小競り合いの均衡の表現であるのと,同様。

    企業は,自分のビジネスの自然な延長になるものは,やろうとする。
    拡大しないことは,他から取って替わられることからである。
    そして,膨張する資本は回転させねばならない。
    GAFA は,それぞれが「統合的」を指向し,GAFA 内部の競争を熾烈化していくのが定めである。