Up 放射線被曝障害とは : 要旨 作成: 2023-08-28
更新: 2023-08-28


    放射線の被曝は,放射線の内容となる粒子ないし電磁波が,体の組織に当たることである。
    体が銃弾を浴びるようなイメージである。

    体の組織で当たってまずいところは,細胞内の DNA である。
    細胞は,生命活動として,必要なタンパク質を製造している。
    この製造レシピが,DNA である。
    よって,DNA が放射線の直撃で損傷すると,まっとうなタンパク質が製造できなくなる。
    その細胞は壊死するか,ガン細胞になる。

    細胞のうちでも特に幹細胞や生殖細胞は,DNA の損傷を深刻に考えるところとなる。
    幹細胞がやられると,まっとうな細胞がつくられなくなる。
    生殖細胞がやられると,損傷した DNA が遺伝するかも知れない。
    ──損傷した DNA が遺伝するとは,親の被曝障害が子に遺伝するということである。


    放射線が強いほど,被曝障害は重くなる。
    これは,強い銃弾に当たれば傷が深い,ということである。
    放射線の強度が同じならば,放射線の量が多いほど,被曝障害は重くなる。
    これは,銃弾に多く当たれば傷が多い,ということである。

    放射線は見えないので,被曝の危険が実感できない。
    世界はさわやかなのに体が壊死していく──被曝の死はこんなイメージである。

    例えば福島原発の燃料デブリに体を曝せば,体はたちまちグチュグチュの異物に変わる。
    誤解のないよう強調するが,これは,放射線エネルギーによって体の組織がやけどのように化学変性する,という現象ではない
    DNA が壊されて細胞が保たれなくなる,という現象である。