Up 放射線治療は治療か? 作成: 2023-08-29
更新: 2023-08-29


    医療の歴史は,珍妙な治療の歴史である。
    医療が珍妙な治療を繰り出してくる理由は,2つである。
    一つは,医療が「試行錯誤を努力する者は,尊重されるべき」を立場にしていること。
    そしてもう一つが,医療はひとが治療に金を払ってくれれば勝ち,というものだからである。

    ひとは,治癒が体の自然治癒であることを知らない。
    治癒を医療の治療のおかげと思う。
    こうして,医療は珍妙な治療を使って,ひとから金を取れる。


    一方,治らないものは治らない。
    医療は,これを隠す。
    ひとが「治らないものは治らない」の考えになったら,ひとが医療に払う金が減るからである。

    ひとは,新しい治療法・新薬が出てくるものだと信じている。
    医事薬事利権が,ひとがこう思うよう仕向けてきた。
    ひとは,新しい治療法・新薬が出てくるものだと,洗脳されている。

    医事薬事利権は,「新しい治療法・新薬」を繰り出す。
    大衆は,この宣伝に飛びつく。
    「医療」とは,人間のこの生態のことである。


    癌の放射線治療は,このような文脈の中にある。
    それは,珍妙な治療である。

    放射線治療は,癌細胞を壊死させようとするものである。
    即ち,つぎが放射線治療の論理である:
      《癌細胞の DNA に放射線を当て,DNA を破損させる。
       DNA のこの破損によって,癌細胞を壊死に導く。》

    容易にわかるように,これは他の細胞を巻き込む。
    健常な細胞を癌細胞化することにもなる。

    しかし放射線治療は,「他の細胞を巻き込む」ことを「副作用」と呼ぶ。
    その論理は,つぎのものである:
      《放射線被曝による DNA のダメージは,健常な細胞より癌細胞の方が大きい》

    さらに癌細胞への集中放射を強調する:
      《放射線照射は,癌細胞に集中するように仕組まれている》

    ひとはこれらのことばに,騙される。
    医療の側も,騙される (自分で自分を騙す)。
    騙されるのは,「当たり所」と「確率」の考えができないためである。


    「当たり所」とは?
    DNA には,細胞の保守にとって重要な部分とそうでない部分がある。
    治療にとっては:
      健常な細胞の DNA は,重要な部分が放射線によって壊されずに済む
      癌細胞の DNA は,重要な部分が放射線によって壊される
    が良いことであり,これの逆が悪いことである。

    「確率」とは?
    細胞にとって,重要な部分が放射線によって壊されるかどうかは,確率の問題である。
    個人にとって,放射線治療が良い結果になるか悪い結果になるかは,確率の問題である。


    「成功確率 99%」とは,失敗が1% だということである。
    個人は,「成功確率 99%」をあてにすることはできない。
    自分は1% の方になるかも知れないからである。
    個人は,全体統計とは対立する存在である。
    「確率」は,こういうふうに考えるものである。

    こうしてひとは結局,《自身の体を当てにする──体の自然治癒を当てにする》につく方が,賢明ということになる。

    しかし,ひとがこの賢明に立つと,医療は上がったりである。
    医療にとって,ひとは<治療に依存する者>でなければならない。
    医事薬事利権は,ひとを<治療に依存する者>に洗脳する。

    始めに述べたことに戻るが,医療の歴史は珍妙な治療の歴史である。
    放射線治療は,この類である。
    放射線治療の普及は,ひとが放射線治療に洗脳された結果である。
    洗脳したのは,医事薬事利権である。