天体を観測すると,天体は観測者の自分から遠ざかって行くように見える。
この現象を,「宇宙の膨張」と謂う。
この「膨張」には,つぎの法則が認められる:
天体Mが遠ざかる速度は,自分とMの距離Dに比例する
即ち,
\[
\frac{d}{dt}D \,=\, H\, D, \ \ \ \ \ H : 定数
\]
この法則を「ハッブルの法則」と謂い,定数Hを「ハッブル定数」と謂う。
わからぬことだらけの宇宙が相手なので,ハッブル定数の値は当然流動的である。
ここでは,つぎの値を用いるとする:
\[
H = 72 \ \ \ \left[ \frac{km}{秒} \frac{}{MPC} \right] \\
Mpc = 3.082 × 10^{19} \,km
\]
「\( 10^{19} \,km\)」はイメージしにくいので単位「光年」に換算すると:
\[
光年 = 9.46 \times 10^{12} km \\
Mpc = \frac{3.082 × 10^{19}}{9.46 \times 10^{12}} 光年 = 3.26 \times 10^6 光年 = 326 万光年
\]
よって,つぎのようになる:
「自分との距離が 326 万光年 の天体は,自分から速度 72 km/秒 で遠ざかる」
言い換えると,
「自分との距離が 1万光年 の天体は,自分から速度 221 m/秒 で遠ざかる」
「自分との距離が 1光年 の天体は,自分から速度 2.2 cm/秒 で遠ざかる」
これがどの程度のスピードなのかまだイメージがつかめないので,「ビッグバン」の絵で考えてみる。
「ビッグバン」の宇宙モデルだと,宇宙の年齢は 138億年。
ビッグパン発生点Oから138億光年の距離の天体があったら,それはOからほぼ光速で遠ざかっているという計算になる:
\[
138億光年 = 1.38 \times 10^6 万光年 \\
0.221 km/秒\, の 1.38 \times 10^6 倍 = 30.5 万km/秒 \approx 光速
\]
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