Up 著作権産業の終焉 作成: 2023-04-29
更新: 2023-04-29


読売新聞, 2023-04-28
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    テクノロジーの進化は,これによってこれまでのやり方が通用しなくなる者たちを現す。
    彼らは,<自分の不都合を理由にしてテクノロジーの使用をやめさせる>はできない。
    彼らは,これまでのやり方を捨てることになる。
    なぜか?
    テクノロジーを享受する多数に対し,彼らは少数だからである。


    ひとはなぜ表現するか?
    表現は,<自分の遺伝子を後世に残す>が変形したものである。
    生物は,<自分の遺伝子を後世に残す>を自身の意味とする存在である。
    人間は生物である。
    よって,自ずと表現に向かう。


    ひとは,他人の表現に関心をもつ。
    そこで,自分の表現を商品にするという生業が現れる。
    それは,著作権を導入し,著作権産業になる。

    一方,金抜き (損得抜き) で表現をする者たちがいる。
    表現は,自分の遺伝子を後世に残そうとする生物の(さが)から来るものであるから,金抜き (損得抜き) が本来のものなのである。
    このような表現は,<ひとは他人の表現に関心をもつ>によって,広まることがある。

    インターネットの時代は,<ひとは他人の表現に関心をもつ>によって自分の表現が拡散する可能性が,皆にある。
    皆が自分の表現能力に気づき,能力を発揮し出す。
    こうしてネットは,著作権産業の商品を凌駕するコンテンツで溢れかえるようになる。


    著作権産業は,自己保身に躍起になる。
    自己保身に躍起になり,自分の等身大が見えない。

      読売新聞, 2022-02-07
    海賊版サイトで漫画「ただ読み」、
    昨年の被害は5069億円…巨大サイト閉鎖で半減
     出版社や通信事業者などで作る海賊版対策団体「ABJ」は7日、2022年の1年間に漫画などの出版物が海賊版サイトによって「ただ読み」された金額が、紙の本に換算して約5069億円分に上ったことを明らかにした。
     過去最悪を記録した21年の約1兆19億円からほぼ半減した。21年秋と22年春に、巨大海賊版サイトが相次いで閉鎖されたことで大幅に減った。ただ、新たなサイトも続々と登場しており、約2100億円だった20年に比べると依然として2倍以上の水準となっている。

    「5069億円」は,「紙の本が買われていたら」の話である。
    「ただ読み」は,「別に読まなくて構わない,ただだから読んでやっている」である。
    <買う>は,<推し>とイコールである。
    ひとは,よほど推すものでなければ,買うには及ばない。

    そしてひとは,内容を知らないものは買わない。
    著作者は,《ただ読みで自分を知ってもらい,自分のファンになってもらい,紙の本を買ってもらう》しか無いのである。
    日本の漫画のいまの世界的盛況は,海賊版サイトの貢献が大きい。
    ひとは偉くなると,自分が世話になった者を忘れる。
    著作権産業は,傲慢なのである。


    著作権産業の傲慢は,インターネットの時代には通用しない。
    ただ読みしてもらおうとするライターが,ただ読みサイトを利用するようになる。
    そしてそこは,優れたな作品で溢れかえるようになる。

    ラスコーの壁画がかっこいいのは,金や損得の臭いがしないからである。
    バンクシーが自分を名告って作品を売り出したら,白けるだろう。
    ひとが他人の表現に関心をもつとき,その表現は<コントリビューション/ドネーション>の趣きであることが必要なのである。


    インターネットは,そのような作品で溢れかえっている。
    そのような作品を素人がつくる安物と思ってはならない。
    コントリビューション/ドネーションの方法はオープンであり,この方法が作品を時々刻々進化させる。
    こうして,オープンなものがいちばんになる。
    Linux 然り,Wikipedia 然り,そしていま読売新聞が躍起になって叩いている ChatGPT 然りである。


    ひとのオリジナルは,他からのパクりである。
    パクられることは,<自分の遺伝子を後世に残す>であるから,表現にとってこれは本来よいことである。
    実際,ChatGPT に大いにパクってもらおうとすることが,これからの大きな流れになる。

    著作権を居丈高にかざす者は,スルーされるだけである。
    著作権産業は,囲い込みが成立する時代に成立した。
    インターネットの時代は,囲い込みは成立しない。
    ChatGPT や「タダ読み」サイトを使いこなせない著作権産業は,終焉する。
    反 ChatGPT キャンペーンに躍起の読売新聞は,この類である。