Up 世論誘導には欧米コンプレックスを利用する
──「AI 規制」キャンペーン ──
作成: 2023-06-16
更新: 2023-06-16


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読売新聞, 2023-04-15
(1面)
(2面)


    マスコミの世論誘導の方法は,つぎの3つの組み合わせである:
      1. 正義を装う
      2. 自分に都合のよい「専門家」の言を引く
      3. 日本人の欧米コンプレックスを利用する

    大衆は,この安い方法にまんまと乗せられる。
    簡単に洗脳される。
    上の記事を読んだ者は,「著作権保護」を正義と信じ,日本は EU の AI 規制」を見習わねばならないと思うことになる。 日本の政府は何をぐずぐずしているのだと,憤ることになる。


    「AI 規制」は,ビッグデータを既に(あさ)るだけ漁った AI 先行者には,たいして不都合なものにはならない。
    これが不都合になるのは,AI 開発・AI 市場で後塵を拝している者たちである。
    AI 先行者は,むしろ「AI 規制」によって後発者を抑えることができる。
    AI 先行者が「AI 規制」キャンペーンの肩をもつような行動に出ても,まったく不思議はない。

    日本は,AI 開発・AI 市場で後塵を拝している側にある。
    日本の経済界・政府は,「AI 規制」に対しては専ら日本の不利を見ることになる。

    読売新聞はどうかというと,AI によって廃れる業種なので,「AI 規制の動きは何でも自分の味方にする」の構えになる。
    「自分の敵の敵は,自分の味方」をやっていくことになる。


    さてその「AI 規制」だが,これはことばの独り歩きである。
    即ち,その具体的中身は思考停止されている。
    そして,物事をめんどうにするだけの規則がつくられる。

    その規則は,EU議会や読売新聞が肝心/正義にしている「著作権保護」には,何も効かない。
    「独創」というものが,そもそも幻想だからである。

    生成 AI の登場で生業が難しくなる「クリエータ」は,それだけのものだったということである。
    新しいテクノロジーが登場すると,これによって廃れる職業が出てくる。
    「クリエータ」は,《これを危うくするようなテクノロジーからは,守られねばならない》となるような特権的身分ではない。

    生成 AI でできてしまうレポートを課題にしたり成績評価に使っている授業も,同様である。
    その授業は廃れることになるが,それだけのものだったということである。
    どんどん淘汰されて然るべきものである。


    「AI 規制」は,物事をめんどうにするだけのばかばかしい規則になるのみだが,日本人はこれの遵守を競い合うことになる。
    これが問題なのである。

    日本人は,ばかばかしい規則の「ばかばかしい」を考えることができない。
    日本人は,《同調圧力に応ずる》を生き方にしている。
    自分を縛る規準・規則が無いと,生きられないのである。
    自分を縛る規準・規則を自分から求め,そして自分がどんなにそれを守っているかで評価されようとする。
    新しいテクノロジーに対し日本は必ず遅れをとるが,それはこの国民性によるのである。