Up 中国の少子化・超高齢化問題 作成: 2023-03-30
更新: 2023-03-30


    中国はいま,「拡張主義」の国になった。
    欧米日本等連合は,「世界秩序」を立てて,中国との対立を鮮明にしている。

    ここで「世界秩序」は,「植民地主義後世界秩序」がこれの意味である。
    植民地主義は,領土拡張主義である。
    領土拡張の考えは,植民地主義の国によって異なった。
    こうして異なるタイプの植民地ができた。

    植民地主義といっても,「植民」が本格的だったのはイギリスだけである。
    植民は,人口問題のソルーションとして出てくる。
    「自分の土地が無い・仕事が無い」が理由で,植民地への入植となるわけである。
    人口が問題になっていない国の植民地主義は,植民にはならない。


    中国は,実は未曾有の人口問題を抱えている。
    いまはまだよいが,もう少しすると,少子・超高齢化の国になる。
    現在人口は14億を超えているから,それは日本の少子・超高齢化の10倍以上のスケール。
    しかも,国民の生活水準は,日本と比べてまだ低い。
    自国民がせめて日本人並みの「贅沢」ができるようにすることが,政治の務めになる。

    そうすると,政治は何をやることになるか?
    「遅れてやって来た植民地主義」をやることになる。

    ひとは「中国は広いから,食う分は自国で完全に賄うことができる」と思っているかも知れないが,そうではない。
    十分な生産性のある農業というのは,どこでもできるというものではないのである。
    実際,中国の農業は,目一杯のところまでやってきていることになる。

    漁業も同じ。
    海の魚で考えてみよう。
    魚は,海のどこにでもいるわけではない。
    肉食魚は,植物食・プランクトン食の魚を食う。
    植物とプランクトンは,川からこれの栄養が流れてくる。
    この食物連鎖がうまくいくところが魚のいるところである。
    それは沿岸部ということになり,そして沿岸部ならどこでもいいとはならない。
    実際,中国の漁業は,目一杯のところまでやってきていることになる。
      備考:中国の海岸線は,日本よりずっと短い。


    こうして,自国民を生きられるようにするには領土拡張主義で行くしかない,となる。
    これが,いまの中国の拡張主義の事情である。
    もっとも,中国の拡張主義は「これしかない」と思ってやっているだけである。
    その先については,思考停止である。

    実際,この時代,植民地主義は成立するものではない。
    どの国も,昔の「新天地」とは違う。
    知恵をつけた「文明国」である。
    したたかであって,利用するつもりが利用され,金をたかられるだけになるのがオチである。


    中国と結ぶ国を増やして国連での立場を強くすることも,意味がない。
    主要国は,国連にシンボル的な意味しか措いていない。
    重要な議題は,G何とかにかける。
    トランプがまた大統領になったら,今度は「国連から脱退」を言い出すかも知れない^^
    冷戦による機能不全もあるが,「一票の格差」がとんでもないところに議題をもっていく意味がそもそも無いのである。
      念のため。
      国連を正義の府と学校で教えられてきたかも知れないが,国連はイデオロギーと利権の府である。


    こうして,拡張主義は武力緊張をエスカレートするばかりで,人口問題には少しも関接しない。
    その強面とは裏腹に,なかなかに気の毒な立場にいま在るのが,中国なのである。