Up 「少子化」は「女性の社会進出」の含意 作成: 2023-03-17
更新: 2023-03-17


    子育て年齢女性の就労人口は,1970年と 2020年を比べると,つぎのように劇的に変化している:
左の列のグラフは,女の年齢階級別人口 (万人)。
右の列のグラフは,女の年齢階級別人口に対する女の年齢階級別就労人口 (年平均) の割合 (%) ──灰色と赤色の境が 50%。
1970
20〜24歳  456
25〜29歳  530
30〜34歳  457
35〜39歳  417
 
20〜24歳  34 %
25〜29歳  71 %
30〜34歳  46 %
35〜39歳  48 %

2020
20〜24歳  281
25〜29歳  309
30〜34歳  309
35〜39歳  329
 
20〜24歳  20 %
25〜29歳  75 %
30〜34歳  86 %
35〜39歳  78 %

女性の就労率の推移

    これが,「少子化」の構造である。

    「少子化」と子育て年齢女性の数の減少は,正のフィードバック関係にある。
    そして,子育て年齢女性の就労率の増加は,出生数の減少になる。

    子育て年齢女性の就労率の増加は,「女性の社会進出」の方針に適っている。
    就労と子育ては両立しない。
    よって「少子化」は,必然である。
    「少子化」は,引き受けることである。


    育児手当や育児休暇制度は,「少子化」の対策にはならない。
    なぜ?
    育児に手がかかることは,金の問題ではない。
    そしてひとは,そもそも仕事を損ないたくない。

    ひとは,仕事に就くと,仕事に嵌まってしまう。
    仕事を犠牲にして育児するよりは,育児を犠牲にして仕事をする方を択ぶ。
    ひとはひとから承認されることを欲し,そして仕事で褒められることが,ひとから承認されることだからである。
    女性も,就労すればこうなる。

    「仕事で家庭を顧みない」にならないためには,最初から家庭をつくらないことである。
    こうして社会は,「少結婚化」に進む。
    現にこうなっている。
    そしてこれがまた「少子化」を進めるというわけである。

女性の未婚率を 1980年と 2020年で比較:
1980
20〜24歳  78 %
25〜29歳  24 %
30〜34歳  9 %

2020
20〜24歳  88 %
25〜29歳  59 %
30〜34歳  34 %

女性の未婚率の推移

    「少子化」は,「女性の社会進出」の含意 (implication, 論理敵必然) である。
    「女性の社会進出」を歓迎するうえは,「少子化」も歓迎するというのが道理である。