Up ニワトリ殺処分 作成: 2023-04-06
更新: 2023-04-06


    養鶏業は,飼養戸数が減少している。
    しかし,1戸あたり飼養頭数が増えているので,出荷規模は保たれている。
2022年2月1日現在 畜産統計 から引用


    この養鶏業は,ニワトリの鳥インフル感染がリスクになる。
    ニワトリにおいて鳥インフル感染はふつうのことなのに,感染対応が「感染したニワトリを出したところは,総てのニワトリを殺処分」となっているからである。
    「1戸あたり飼養頭数が増加」は,殺処分する頭数の増加を意味する。

      家畜伝染病予防法, 第16条 1
    次に掲げる家畜の所有者は、家畜防疫員の指示に従い、直ちに当該家畜を殺さなければならない。ただし、農林水産省令で定める場合には、この限りでない。
    ① 牛疫、牛肺疫、口蹄疫、豚コレラ、アフリカ豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザ又は低病原性鳥インフルエンザの患畜
    ② 牛疫、口蹄疫、豚コレラ、アフリカ豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザ又は低病原性鳥インフルエンザの疑似患畜


    実際,いまの 2022年からのシーズンは,3月2日の NHK 報道で「1500万羽超」「これまでで最も多かった2020年からのシーズンの1.5倍」となっている。
    「1500万羽超」の大半は採卵鶏。
    採卵鶏の「成鶏めすの飼養羽数は1億3,729万1,000羽」(上表) なので,1割以上が殺処分されたわけである。


    ウィスル感染への対応は,<かかってしまう>のただ一つである。
    しかしひとは,「ウィルス感染=絶対悪」に洗脳されている。
    人間の場合は,「新型コロナ」で見たように,感染した者を隔離する。
    そして,ニワトリの場合は,一蓮托生の殺処分──皆殺し──になる。

    繰り返すが,生き物においてウィルス感染はふつうのことである。
    殺処分を真面目にやっていたら,ニワトリはいくらあっても足りないことになる。

    知るべし。
    鳥は,鳥インフルウィルスと共生している。
    ニワトリも,ウィルスと共生するようになる生き物である。
    感染して死ぬ個体がある一方で,生き残る者がいる。
    生物の進化は,《生き残る者の系統が全体になっていく》である。
    ニワトリは,本来なら,短期間でウィルスと共生するものになるのである。

    ところが,感染した個体が見つかった途端,皆殺しにしてしまう。
    これでは,進化しようにも進化できない。


    「感染したニワトリを出したところは,総てのニワトリを殺処分」は,養鶏業者をどこに導くことになるか?
    離農──養鶏を生業とすることからの撤退──である。
    自分のところが殺処分養鶏場になる確率は,極めて高い。
    (何度も繰り返すが,生き物においてウィルス感染はふつうのことである。)
    養鶏業は割に合わないものになる。
    ずっとしがみついていくようなものか?!」となる。


    いま卵の値上がりが続いているが,この価格は高止まりすることになる。
    養鶏場からウイルス感染したニワトリが出るのはふつうのことなのに,「感染したニワトリを出したところは,総てのニワトリを殺処分」が絶対正義だからである。
    日本人は,「正義の味方」がセルフ・アイデンティティになっている。
    「自分で自分の首を絞める」は,日本人の国民性である。
    已んぬる哉。