Up | 産業衰退国日本 | 作成: 2023-03-29 更新: 2023-03-29 |
労働力人口が多くなることは,必要としない。 「少子化」は,この状況と合っている。 政治は,いまの社会保障制度が保てなくことを嫌って「少子化=国の危機」を唱えている。 しかし,産業の衰退した日本にとって,人口が多くなるのは困ることなのである。 日本はどうして産業を衰退させることになったのか? これは,誰が悪いという話ではない。 産業の衰退は,「盛者必衰」の理 (ことわり) に則って,しっかりこうなるというものである。 ひとは,生きるのに衣食住を必要とする。 ひとは,これを自分で産むところから出発する。 やがて,商いを知る。 他人が産んだ物を安く買い,別の他人に高く売り,その利益で自分の衣食住を賄う,ということを始める。 ひとは,<産む>と<商う>のどちらを択ぶかとなったときは,<商う>の方を択ぶ。 <産む>は,泥臭いからである。 これが,裕福になるということである。 社会・国の富裕化は,商人がステータスの高い者になることである。 企業は,「海外進出」のことばで,工場の海外移転をしてきた。 なんのことはない,これは外国から物を買って商うということである。 その工場を自分のもののつもりでいるが,バナナのプランテーションと同じであり,その産業は外国のものになる。 企業はこれを「win-win の関係」と呼ぶが,すべて良しの関係などは無い。 企業の「win-win の関係」の度に,国内から産業が無くなる。 産業を得た国は,産業を自分のものにしていく。 その国は,産業強国になる。 いまの中国がこれである。 昔の中国物産展といえば,干し菓子,切り絵,切手,象牙細工,プロパガンダ書籍でほぼすべてだった。 それがこんなにも変わるのである。 まだ続きがある。 産業を得た国は,生産物を自分で商うようになる。 こうして,産業を外国に移して自分は商いでやっていこうした日本は,商いの方もダメになる。 産業を衰退させた国は,産業を取り戻せない。 そして商いもダメ。 で,いまの日本が何でやっていこうとしているかというと,「観光」である。 「観光立国」がいまの日本の国是である。 ユネスコの世界文化遺産登録に,躍起になる。 オリンピック等イベント誘致に,躍起になる。 「北海道カジノ」は失敗したが,いまは統一地方選で大阪が「大阪カジノ」で熱くなっている。 しかし,観光は所詮,浮いた産業である。 国の頼りとなるようなものではない。 さて,「天網恢々疎にして漏らさず」である。 系はどんな状況にも適応する (self-reflection & self-organization)。 系は進化する。 この進化は,政治が導くのではない。 そして,産業衰退をネガティブに見るのは,間違いである。 産業衰退は,これもまた生産のうちである。 特に,産業衰退の時節は,芸術が高まる時節である。 芸術とは「藝・術」であって,広い分野がこれに含まれる。 いまは日本人が様々な分野で金メダルを取るようになっているが,これは一昔前までは考えられないことだったのである。 産業衰退の時節は,個の可能性が拡がる時節である。 これは,結構なことである。 そして「少子化」は,この時節とよく合っているのである。 達観すべし。 |