読売新聞, 2023-03-01
「少子化」はいま,政府が「異次元の対策」を唱えているところである。
「異次元の対策」の内容は,<子育ての手当て (給付金) を増やす>である。
政治は,「少子化」を金で解決する問題にする。
実際,政治手法は<金で解決する>しかないわけである。
そして,<金で解決する>は必ず勘違いする。
「成果」を求めるからである。
「少子化」は,金で解決できない。
それは,「少子化」が進行している他の生物種を考えれば,簡単にわかることである。
金と生態は,もともと次元が異なる。
生態の出来事に<金で解決する>をあてるのは,カテゴリー・ミステイクなのである。
人間の繁殖は,営巣タイプの繁殖である。
巣づくりと巣内育児ができない者は,繁殖に与れない。
生物種は,個体数を増やせるだけ増やす。
個体数の限界を定めるものは,糧の量である。
糧は有限なので,個体数は一定以上は増えない。
営巣は,資源を多く要する。
資源は有限である。
営巣に与れるのは,一部の個体になる。
こうして,営巣はつねに競争になる。
営巣するためには,先ず競争に勝たねばならない。
<子育ての手当て (給付金) を増やす>は,「少子化」対策にならない。
それは,既に営巣に与できている者に対する給付だからである。
「少子化」は,営巣数が減っているという現象である。
よって,「少子化」対策の施策は,営巣数を増やす施策である。
<子育ての手当て (給付金) を増やす>は,いまの営巣者を少しラクにしてやるというものである。
営巣数を増やすというものではない。
政治のこの勘違いは,どうしたことか?
「対策」づくり型政治の手法は,「有識者会議」である。
よって,「有識者」の段階で,既に勘違いが起こっているわけである。
大衆は「有識者」を文字通りに受け取って有り難がっているが,「有識者」とは「馬鹿な学生」がそのまま年をくったものである。
キャリアを積むことは,科学ができるようになることではないのである。
科学知らずが幼稚な思いつきを述べるというのが,「有識者会議」の実態である。
これは,悪口をついているのではない。
どうしてもこうなってしまうということを,事実として述べているだけである。
というわけで,「少子化」の科学を考えてみることにする。
どれくらいの広がりになるかは,やってみないとわからない。
少しずつやってみることにする。
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