Up 「限界集落」のわけ 作成: 2023-03-24
更新: 2023-03-24


    いまは,辺地の農村が,限界集落化して消えていく時代である。
    辺地の農村が消えていくのは,辺地の農村を存在させてきたものがいまは無いからである。
    辺地の農村は,消えるべくして消える。


    辺地の農村を存在させてきたものは?
    それは,田畑を辺地に拡げさせ,そしてその田畑にしがみつくことを強いる圧力である。
    その圧力をかけるものが存在した。
    領主である。

    共同体は,生き残りのために他の共同体と争うことになる。
    こうして領主がつくられる。
    領主は戦いに勝てるために,富国強兵に努める。
    こうして,田畑開拓が進められる。


    いまは,領主は存在しない。
    田畑にしがみつくことを強いる圧力は存在しない。
    そしてこの時代,辺地の田畑は,いまから自分の生き方を定めようという若者にとって,しがみつくものにはならない。
    辺地の農村は,若者のいないところになる。

    この流れは,どうしようもない。
    辺地の農村は,ただ存在したのではない。
    これを存在させようとする力が,存在させたのである。
    その力が無くなれば,消えるのみである。
    「是非も無し」である。